意志・目的

それぞれの目的

各々の関係図推測・補完

各々の関係図

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ゾハルの意志

デウスの暴走考察【 時代年表 】 EPISODE I参照

デウス冒頭、各コアごとに分解されエルドリッジに搭載された《オメガ1》=デウスは突如として再起動し、《アルパ1》=《中枢素子ペルソナ》の《System HAWWA》を起動。《アルパ1 (オリジナルミァン・ハッワー) 》はエルドリッジのメインフレーム《人工電脳ラジエル》をハッキングし占拠、本星──『Lost Jerusalem』=地球への時空転移を開始しようとする。

《System HAWWA》は自己修復システムを統括するプログラムであり、本来ならば各コアごとに分断されたデウスを統合することに尽力しそうなものだが、エルドリッジを完全占拠しつつ (退避しようとするシャトルを撃破する等、エルドリッジからの逃亡も許さなかった) およそ5000年前から人の立ち入りを許されなくなった不可侵宙域:地球へ向かうことを第一としている。
またエルドリッジに搭乗していた人々は、デウスの地球への時空転移を自爆までして阻止している。

地球──『Lost Jerusalem』は特に惑星環境の激変等で人類が住めなくなったわけではなく、何故閉鎖されたかも不明のままである。
にも関わらず、人々が地球を離れその後『Neo Jerusalem』と呼ばれる次の惑星を見付けるまで約300年もの間、宇宙を放浪しなければならなかったのは何の為だったのだろうか。

後にゾハルとなる物体・MAM (=磁気異常物質:magnetic abnormal matter) は宇宙の発生と共に存在し、地球の生命誕生から1億年経った地層より発見される。
MAMは生命誕生やその後の進化に何らかの関わりを持つ (パンスペルミア) という仮説は立っているが、詳しいことは分かっていない。
生命誕生や進化に影響を及ぼしたMAM=《事象変異機関 ゾハル》は、人類と共に地球から遠ざけておかなければならなかった──それこそに、人類全てが地球ごと滅ぶ程の可能性があったものと推測される。

《事象変異機関 ゾハル》によって事象変異が行われる際、常に可能性0の選択を続けて行くことにより次元の異なる新しい宇宙が創造され、ビッグバンが発生するという仮説がある。
『MAMは地球上で何かを事象変異し続けており、しかしそれはMAMであっても可能とするには程遠く、カタストロフィを引き起こす可能性が大きかった』。
それが人類がMAMを携え地球を離れた理由だったのではないだろうか。
実際にMAMによって事象変異理論の実現を試みた『プロジェクトゾハル』において、原因不明の事故により実験の行われていた惑星が消滅している。

宇宙移民自体はMAMの人類発見直後 (D.C.2001以降) から悲願とされ、移民計画が実現可能なものとして決定した年 (D.C.2510)、年号はT.C. (Transcend Christ:transcendは「人知の限界を超える」「[神が] [宇宙・時を] 超越する」の意) に改められている。
人類はMAMと人類そのものを地球から引き離し、定められた崩壊から「(神の子として神より) 超越」しなければならなかった。
MAMは触れてはならない《パンドラの箱》で、その発見により人類はその蓋を開いてしまったと言えるのかもしれない。

人類が地球を離れまでしてMAMと地球を引き離した理由は、MAMが再び人類の手に戻るおよそ5000年の間に忘れ去られ、人類はMAMを《事象変異機関 ゾハル》として統御し、《恒星間戦略統合システム デウス》の主動力炉として用いようとした。
デウスという移動手段を得たMAMは、人類の手を離れて行動を始める。

軍に徴発されていたエルドリッジが墜落した惑星のある宙域は、行くことが不可能な場所ではなかったはずである (軍もその航路の情報は得ていただろう)。にも関わらず探索を1万年もの間放棄した人類は、MAMそのものを、制御不能となった《恒星間戦略統合システム デウス》という脅威と共に、墜落事故によって封印したかったのかもしれない。

《恒星間戦略統合システム デウス》の完成は、地球で行われなければならなかった。
それは《恒星間戦略統合システム デウス》と連結されたMAM=《事象変異機関 ゾハル》が、自らの統御の為に接続されていた《中枢素子ペルソナ》のプログラム《System HAWWA》に「デウスを完成体とする為には地球へと向かわなければならない」と錯覚させ、動かしたのだと推測される。
デウスを突き動かしたのは、本来自分の意志を持たない物体とされているゾハルが「地球上で何かを事象変異し続け」ることを願った結果なのだろう。
地球で行われなければならなかったのはデウスの完成ではなく、ゾハル自身の完成だったのではないだろうか。

確たるところは依然として不明のまま、明かされないままに“Xenogears”の物語は始まる。

福音の劫考察

「《福音の劫》までに神の復活が叶わぬ時は、我等は原初からの運命 <さだめ> により滅亡しよう」──シタンの回想で天帝カインはそう呟く。
《福音の劫》は全ての準備が整い神=デウスが復活する日のことであるが、「《福音の劫》までに神の復活が叶わない」というのはどういうことか。
つまり《福音の劫》とは「復活の日」を指すものではなく、「タイムリミットの刻限」を指すものである。

デウスの自己復元プログラムには最初から1万年という期限があり、それまでに実行されなければゾハルの可能性事象が変異し、デウスの構成部品であるヒト (おそらくはミァンや天帝カイン・デウス本体をも含めたシステム全て) は消滅することになっていた。
神として悠久の時間が与えられているならば、ソラリス戦役においてガゼル法院は《太母》ミァンに逆らってまで性急にデウスの復活を望むことはなかった。逆に1万年というリミットがあったからこそ、ミァンはぎりぎりまでデウスの構成部品となるヒトの進化を吟味し続けることが出来たとも言える。

この1万年は、ゾハルが次の事象変異を始めるまでの猶予期間であったと考えられる。
ゾハルは自分と接合されたデウスの完成を待ち地球へと帰還する計画だったが、デウスによってそれが成されない場合は別の方法を事象変異させ、帰還を企図するつもりだったのかもしれない。
1万年という期限自体が持つ意味は分からないが、恐らくそれはデウスのシステムが老朽化し、崩壊する限界でもあったのだろう。実際1万年の間にアニムスは進化し《ゲーティアの小鍵》の発動を持ってしても変容を免れるようになり、デウス復活の重要なファクターであり忠実な計画執行者であったはずの生体素子はそれぞれに意志を持ち、目的を違えてしまった。
カインはシステムに反抗し、ガゼル法院は肉体を失い、ミァン因子自体の束縛力は弱まり (フェイの母カレンは我が子の危険に絶対的であるはずのミァン因子の束縛を振り払い、本来の人格を取り戻した)、それ以上のシステムの維持は望めなくなっていた。

結果として《福音の劫》はデウスの完成を持って迎えられることになり、惑星をテラフォームしたデウスは《ベツレヘムの地》にあったゾハルごと外宇宙に侵攻しようとする。
しかしデウス本体は『接触者』により破壊され、《波動存在》高次元回帰の際に次元シフトの衝撃で消滅する。
《波動存在》が解放されスレイブジェネレーターの一切の活動が停止したことより、ゾハル自身もデウスと共に破壊されたように思われるが、どうなったかははっきりとは描かれていない。

ゾハルの地球帰還──《福音の劫》は、未だ果たされていない。

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ミァン・ハッワー

デウスの意志・ゾハルの意志考察

デウスミァン=《System HAWWA》は自己修復プログラムを統括する基幹プログラムであり、デウスの完成と復活のみを純粋な目的としているが、その行動は上記で述べているようにゾハルの影響を少なからず受けているように見える。
デウスの復活を求めるミァンは優秀な構築人種 (スファラディー) を育て、部品となる《母》(『対存在』) 及び『対存在』と同時期に現れる『接触者』等を確保する役目を負っているが、その時代にデウスの復活は成されないと見なした場合は部品の一切を放棄する。
《原初の刻》やゼボイム時代・ソラリス戦役において、部品として必要不可欠な《母》エレハイムの死を見過ごしてきたのは、あくまでデウスの復活には時期尚早と判断した為である。

デウスは本来自らの部品ではない『接触者』を必要としないはずである。
ミァンが『接触者』に近付くのは、『接触者』自身がヒトの転機の時代に現れキーパーソンとなることと、《母》が『対存在』として (恐らくは《波動存在》の事象変異により導かれ) 必ず『接触者』の側に現れる為である。
エリィが “最後のミァン” となった時も、デウスとの融合にフェイを連れて行こうとはせず、『接触者』との融合なしにデウスは完成した。

にも関わらず、ミァンはラカンをゾハルへと導き、フェイを『接触者』として覚醒させようとしていた。
結果としてラカンはグラーフに、フェイはイドに分裂してしまうが、それはあくまでイレギュラーな出来事だったのだろう。
ミァンはグラーフと利害を一致させ手を結び (ラカンによってカーボナイト凍結を免れた因縁も若干は絡んでいたのだろう)、『接触者』の力を解放させた上で不完全な状態から完全な状態に戻そうと画策している。
それはかつてゾハルと連結し、統御していた《生体電脳カドモニ》として、ゾハルの影響を受けていた為ではないだろうか。

ゾハルはフェイと一体化することを望んでいた。
それはゾハルに降臨していた《波動存在》がゾハルに影響を及ぼしたとも、より力を手に入れようとするゾハルが《波動存在》の受容体である『接触者』を欲していたとも取れる。
ミァンのデウスとしての目的と、無意識下におけるゾハルの望み。
もしかしたらエルドリッジにおけるデウスの再起動・暴走は、エルドリッジに乗艦していた『接触者』アベルへの (《波動存在》及びゾハルの) 同化願望がトリガーとなって始まったものかもしれない。

“最後のミァン” との融合を果たし完成したデウスは、惑星そのものを取り込みテラフォームを開始し、《恒星間戦略統合システム デウス》として宇宙に侵攻しようとする。
その目的地は、やはりゾハルの終着地・地球だったのだろうか。

《太母》の行為考察

成体となりメルカバーを起動させたデウスは、生体兵器群・天使《アイオーン》によって生き残った人々やスファル人に変容したものを更に取り込みながら地上を蹂躙する。
デウスの部品となるアニムスの不足はナノマシンによって補われている為、更に人を取り込む行為は無意味なものであり、シタンはこれを「デウス本来の特性ではない、子宮に我が子を押し戻そうとする太母の行為」であると指摘する。
それはデウスと一体化した《母》の特性を持つエリィの意志によるものか、それとも他の要因があるのか──シタンの推測はそこで遮られる。

《太母》とは、デウスの部品として不適合となるヒト=《子》を滅ぼし文明をリセットするミァンの特性を指す。
あえて「太母」という言葉を用いられて指摘されたこの行為は、エリィそのものになったミァンの意志によるものなのだろう。
このデウス=ミァンの不可解な行動は、エルドリッジ墜落時にも似通ったものが見受けられる。

《System HAWWA》──オリジナルミァンはエルドリッジを占拠しながら搭乗していた人々が艦外に退避しようとするシャトルを撃墜し、エルドリッジからの逃亡も許さなかった。
デウス本体が地球へ帰還することだけを目的としていたならば、人類がエルドリッジに残ることはシステムを再び封印される恐れがあるにも関わらずである。
本来不必要な部品であるはずの人間、もしくはヒトを取り込もうとしたデウス=ミァンの目的は一体何だったのか──デウスの自己修復システムを統括するプログラムとして矛盾するミァンの行動の裏には、常にゾハルの意志が感じられる。

ゾハルがデウスを通して望んでいたことは、地球への帰還──恐らくは「地球上で何かを事象変異し続け」ることであったと推測される (【デウスの暴走】参照)。それを防ぐ為に人類は地球を『Lost Jerusalem』とし不可侵宙域と定め、ゾハルと共に宇宙へと旅立った。
そこまで人類が恐れたゾハルの目的は明らかにされていないが、人間・ヒトを取り込もうとするデウス=ミァンの行動から、ゾハルの求めた事象変異は人間 (もしくはそれに準じた存在=ヒト) の進化そのものに関わるものだったのではないかと思われる。

ゾハルの基盤となったMAMは、生命誕生や進化に影響を及ぼしたとされている。
ゾハルの存在目的は作中全く明らかにされていないが、それが「地球上における生命の進化の模索」そのものだったとしたら、地球上で最も進化した生命体である人類が、ゾハルと共に地球を離れた理由も漠然と分かる。
ゾハルの目的の上で人間またはそれを模したヒトは必要不可欠なファクターであり、共に地球に帰還しなければならない存在だった──そう考えることは出来ないだろうか。

「ミァンもエレハイムも、単なるデウスの代弁者ではない! あの女が本体なのだ」──《波動存在》と接触したラカン=グラーフはデウスを破壊してもミァン=エレハイムは生まれ続けると語り、だからこそ全てを滅ぼさなければならないと結論付ける。
ミァンに《太母》の特性を与えたのがゾハルの本能 (存在目的) によるものであれば、ミァンはデウスよりもゾハルに属する存在だったと言えるだろう。
確かに《福音の劫》=デウスシステム自体の消滅の刻限が近付くのに焦りを見せるガゼル法院や《アーネンエルベ》を模索する天帝カインに対し、ミァンは動じることはなかった。それはカレルレンという、デウスシステムの完成を強く望み不足要素を補えるナノテクノロジーを提供する協力者を得ていた余裕もあるだろうが、ミァン自身がデウスシステムを超えた存在=ゾハル自身に近い存在であり、デウスシステムの崩壊だけでは消滅しない存在であった為と思われる。

次元シフトの中、フェイは蛇身に翼を生やした女・ウロボロスと対峙する。
ウロボロスはミァンが搭乗したギア・バーラー=オピオモルプスに似た特徴を備えており、ミァンに覚醒した者に共通した紫紺の髪を持っていることから、ミァン=《太母》そのものを表わしていることは間違いないだろう。
エレハイム=エリィ自身もデウスシステムの中枢素子でありながら、デウス破壊と共に消滅することはなかった。

システムは崩壊し、《波動存在》は高次元に帰還しゾハルは行方不明となり、全てのヒトは『神』から解放されたかのように見える。
しかしウロボロスの環──《太母》はその後もエレハイムに宿り続け、その本来の目的を果たす為に存在し続けるのかもしれない。

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ガゼル法院

システムから逸脱したもの考察【 時代年表 】 EPISODE IV参照

ガゼル法院ミァン・ハッワーがデウス及びゾハルに対し忠実な存在であったのに対し、ガゼル法院はデウスの復活を「法院が神として宇宙に侵攻し君臨する為の準備」と履き違えた解釈をし、自らの野望の為にデウスの復活はあるのだと思い込んでいた。
宇宙侵攻と征服への野望──それは兵器管制を目的とする素子 (アニムス原体) の本質として大きく外れた思想ではないが、それを果たすべき主従が逆転してしまっている。
ガゼル法院はデウス本来のシステムから既に逸脱してしまっていたと言ってもいいだろう。

ガゼル法院の歪んだ支配欲は、ソラリス戦役時代から明かとなっていた。ミァンに背き、あまつさえ刻の管理者として必要不可欠なミァンにカーボナイト凍結を施し封印しようとしたガゼル法院に、デウス=ミァンは価値を見出せなくなる。
ミァンがラカンを不完全な状態で覚醒させた為に起こった《崩壊の日》によってガゼル法院は肉体を失い、後にカレルレンによって不自由なデータとしてのみ残された。

デウスの血肉として必要なアニムスは、原体のガゼル法院でなくとも地上に満ちたヒトで代用が利く。
元々システムの一端として創られた者は、数値の配列からなる模擬データとなっても機能するものなのだろう。
データとなった法院は《ゲーティアの小鍵》を発動させる為だけに存在し、発動後は消去されるのみとなった。

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天帝カイン

反逆者カイン考察

カインアニムス原体の長として生成された天帝カインも、長い刻の間にシステムの大基であるデウスとミァンに背いた、逸脱した者である。
しかしガゼル法院が「システムは自分達 (法院) を主体にあるもの」と根底から思い違いをしていたのに対し、カインは自らの意志で『神』に背いている。

カインをデウスより背かせた原因は不明だが、原初の刻に《母》であったエレハイムをその手にかけてしまったことが要因の一つになっているものと思われる。
アベルが自らの障害になると見たカインはエレハイムの制止を耳に入れずアベルを殺害しようとし、結果アベルを庇ったエレハイムは死亡した。
逆らえないプログラムにより、殺したくはなかった存在 (《母》) を過って死なせてしまった──部品として定められた自らの存在に悔恨し、そしてカインはデウス構築人種として定められたヒトの未来を憂いるようになったのだろうか。

カインはソラリス戦役以前から (もしかしたらゼボイム時代以前から) デウスによって定められたヒトの運命を変えようと画策し、自らの不死の肉体を実験に提供し、ヒトの構築人種として定められた肉体を改変しようと試みていた。
原初の刻以降、時代の表舞台に立たなかったのは、ガゼル法院のような権力への野心がなかったことと、実験による肉体の酷使の為にその力を失った為である。
カインはデウスシステムを破壊出来るもの──『接触者』フェイを《アーネンエルベ (この世に生まれた人々と共に新たな地平へと歩み進む、来るべき神人) 》として待ち望み、その力がヒトの救済となるならば全てを託し、世界を破滅へと追いやる力であるならば消去し、《福音の劫》の事象変異によりヒトと共に滅びるつもりだった。
カインは《アーネンエルベ》としての資質を見極めさせる為、秘密裏に守護天使ヒュウガを監視役としてフェイの元へと送り、見守らせる。

カイン自身にその意志がないにも関わらず、表向き神聖ソラリス帝国の絶対的君主・天帝として君臨させられていたのは、カインのアニムス (ヒト) の長としての絶対行使力を利用する為に、ミァンとガゼル法院により担ぎ上げられていただけに過ぎない。
逆にカインを引き出さなければ、地上からの多くの拉致民によって成り立っていたソラリスという国は統治出来なかったことだろう。
ミァンやガゼル法院・カレルレン等、目的は違えどデウスの復活を望む者達がカインを放置していたのは、絶対行使力を持つが故に「殺せないから殺さなかった」というだけに過ぎない。カインの目的とその存在自体は、デウスの復活にとって最早障害にしかならなかった。

デウス復活の鍵そのものとなる《ゲーティアの小鍵》──その発動の障害となったカイン消去の為に、ミァンとカレルレンはカインを殺すことの出来る《相殺存在》・カインのコピーである人工生命体【 0808191ラメセス 】を生み出した。
《福音の劫》を近くに控えながらも《ゲーティアの小鍵》の法院執行権を抑制し、そしてそれをヒトの未来の為に発動を許可する気が全くなかったカインを、ミァンとカレルレンは【 0808191ラメセス 】──カーラン・ラムサスを用いて暗殺させる。

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カレルレン

神との合一考察【 時代年表 】 EPISODE IV参照

神 (信仰) とヒトとに失望したカレルレンは、ソフィアの「信仰は内に芽生えさせるもの」という言葉を「神がいないのならば自らの手で創り出す」という信念に変え、神との合一を目指す。
恐らくカレルレンはミァンとの出会いにより『神』がデウスという存在であることを知り、その計画の実現性を見たのだろう。そのままであったなら、カレルレンはミァンに協力し《福音の劫》を迎え、デウスの端末・アイオーンとなるだけで終わったと思われる。
しかしデウスを求めてマハノンへを訪れ《ラジエルの樹 (人工電脳ラジエル) 》に触れ、《波動存在》とその高次元への回帰の望みを知ったことにより、カレルレンは真の『神』は《波動存在》であると思い至る。それは肉体を持たない《波動存在》がデウスよりもカレルレンにとっての『神』のイメージに近かったことと、全ての始まりであり終わりの場所である《波動の場》──神の地での神との合一という終着が、カレルレンの望みそのものだった為と思われる。

カレルレンの愛したソフィアはラカンを愛し、カレルレンはソフィアを失った。
《波動の場》に辿り着ければ、全てが1つの存在に──『神』と統合され、何かを喪失することも悲しみもなくなる。
強すぎる執着 (愛) に煩悶したカレルレンは、その執着すらない神になることを願ったのだろうか。

カレルレンの最終的な目的は《波動の場》へと向かうことであり、その為には完成したデウスを『接触者』に破壊させなければならなかった。
デウスを完成させる為にカレルレンはミァンの意志に同調し、デウスの復活を求める。
カレルレンが推進していたM《マラーク》計画 (リミッター措置・ナノマシン散布等) は、デウスに必要な構成部品を創る為でもあったが、むしろより優秀な部品を求めていたミァンへの協力の為だったのだろう。カレルレンの目的は「優秀なデウス」を創ることではなかったにせよ (むしろ『接触者』に破壊させるのであれば、デウスが力を付けることは目的の障害になる)、ミァンの力なしにはデウスの復活は望めなかったからである。

アニムス=ヒトとして生まれながらも、カレルレンはデウスの部品の1つとしてではなく『神』との合一を果たす。
デウスの一部となりながらも個としての意識を維持し、そして《波動存在》の元まで辿り着けたのは、その強固な意志と彼の肉体を築いていたナノマシンによるものだろう。

求めていた《波動存在》との一体化を果たしたカレルレンは、永く待ち望んでいた《波動の場》へと1人向かう。

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